脂質異常症(高脂血症)

脂質異常症(高脂血症)とは

代表的な生活習慣病の一つで、血液中の中性脂肪やコレステロールなどの脂質代謝に異常をきたした状態をいいます。
従来は「高脂血症」と呼ばれ、中性脂肪、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)、総コレステロールが多すぎる状態を指していました。近年ではHDLコレステロール(善玉コレステロール)が少なすぎることも問題があるとし、総じて「脂質異常症」と呼ばれるようになりました。多くの場合で自覚症状がなく、健康診断で判明することが多いです。症状が進行すると、やがて血液がドロドロの状態となり、動脈硬化により脳梗塞や心筋梗塞など死亡率の高い病気を引き起こしやすくなります。

脂質異常症が引き起こす病気

  • 脳梗塞
  • 脳出血
  • 心筋梗塞
  • 狭心症
  • 大動脈瘤
  • 閉塞性動脈硬化症

脂質異常症の原因

高脂肪や高カロリーな食生活、運動不足、遺伝的な要素などが主な原因となります。背景としては食の欧米化や、デスクワークの増加等に伴う慢性的な運動不足など、現代人のライフスタイルの変化が起因しているとも言われています。

発症リスクが高い方

  • 家族に脂質異常症や動脈硬化症の人がいる
  • 肥満傾向である
  • 高血圧である
  • 血糖値が高い(糖尿病の方も含む)
  • 脂っこい食べ物や肉が好き
  • 甘いものや乳製品、果物が好き
  • ついつい食べ過ぎてしまう
  • お酒を飲む習慣がある
  • 痛風である
  • 運動をしない
  • タバコを吸う

脂質異常症の検査

血液検査(採血)によって血液中の中性脂肪値、コレステロール値を測定します。
値によって、以下3つに分類されます。

  • 高中性脂肪血症

    中性脂肪(トリグリセライド)が150㎎/dl以上
    動脈硬化・脂肪肝・急性膵炎などを引き起こしやすい状態。

  • 高LDLコレステロール血症

    LDLコレステロールが140㎎/dl以上
    LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が多すぎる状態。
    LDLコレステロールが動脈の壁に付着し動脈が厚く硬くなる。
    動脈硬化・脳卒中・心疾患(心筋梗塞等)を引き起こしやすい状態。

  • 低HDLコレステロール血症

    HDLコレステロールが40㎎/dl未満
    動脈硬化を引き起こしやすい状態。

脂質異常症の治療

脂質異常症は生活習慣が引き起こす病気ですので、通常は食生活や運動習慣の改善を第一に行って頂きます。
生活習慣を変えても数値が改善されない場合、もしくは動脈硬化など症状の進行が見られる場合には、服薬による治療を行います。
服薬を始めてからも定期的にご来院いただき、血液検査で数値の変化を確認します。

脂質異常症の予防

食事

  • カロリー、糖分、脂質、アルコールの摂り過ぎに気をつけましょう
  • 飽和脂肪酸を含む食品を減らし、不飽和脂肪酸を含む食品を増やしましょう
    飽和脂肪酸を含む食品
    乳製品・牛肉・豚肉・ベーコン・ソーセージ・マーガリン・ショートニングなど
    不飽和脂肪酸を含む食品
    オレイン酸…オリーブオイル・菜種油・ひまわり油等など
    α-リノレン酸(n-3系)…サラダ油、しそ油、菜種油、えごま油など
    EPA(エイコサペンタエン酸)(n-3系)
    DHA(ドコサヘキサエン酸)(n-3系)…さば、さんま、本まぐろ、まいわし、はまち、真鯛、うなぎなど)

運動

  • ウォーキングやランニングなど、適度な有酸素運動をしましょう
  • 基礎疾患(持病)のある方は運動が勧められないことがありますので、必ず主治医に相談のうえ取り組みましょう

喫煙

たばこに含まれるニコチンには、中性脂肪の原料となる血液中の遊離脂肪酸を増やす作用があります。また、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)の酸化を進行させたり、HDLコレステロール(善玉コレステロール)の濃度も低くなります。
服薬や食事・運動による改善効果を阻害する要因になりますので、脂質異常症の治療をしている方には禁煙をおすすめしています。

受診できるクリニック